カリカリの鉄塔

逃げ切れない

宇野へ

有給消化のために平日の休みができたので岡山に行くことにした。

朝八時前に家を出て、JRに飛び乗る。

乗換検索をして、ページを保存してあとはずっと機内モード

リュックの中にはカメラと折り畳み傘とお茶と財布とモバイルバッテリー。

荷物はできるだけ少なくしたい。

JRはすぐに止まるから苦手で、滅多に乗らない。

案の定、乗った電車は踏切を無理に横断した阿呆のせいでしばらく止まり、その影響で寿司詰めになった。

久しぶりの不快感も、非日常だと思えば耐えられる。

高槻で新快速に乗って、三宮を過ぎたあたりで一気に人が減って快適になった。

外国人観光客が意外と多い。

 

相生を過ぎたあたりから田園風景が続く。

晴れた日、平日の昼間、人の少ない電車、田園風景。

センチメンタル。

こういう時は、ダウナー系の洋楽を聴くと最高なんだけど、出がけにポケットに入れた音楽プレイヤーには、そんなこじゃれた音楽は入っていなかった。

アイドルポップスの中からアジカンユニコーンの名前を見つけたので、それを流す。

加速するセンチメンタル。

ユニコーンの"すばらしい日々”を聞きながら田園風景を眺めていると、人を殺すのは案外簡単なことかもしれない、と思う(私は殺されかけた)。

 

孤独と自由は同義語だと思ってる節がある。

私は1人が好きだと言う割に家族に依存していて、つまり孤独でも自由でもない。

できるかぎり不要だと思ったものは削ぎ落としてきたつもりだけど、それでもまだ色んなものに縛られてる。

1人で旅をするのは、自由の疑似体験。

死ぬほど無駄で贅沢で孤独あるべきだ。

 

岡山でワンマン列車に乗り換える。 

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 30~40代くらいの白人女性三人組がキャアキャアはしゃいでいて可愛かった。

ガタガタ揺れる電車、何年前に録音したのかわからないかすれた社内アナウンス。

砂で曇った窓から見えるのは山と畑と老人ホーム。

田んぼの中に忽然と現れる墓地と、バケツを持って歩く少年。

その背景を想像してドラマのようだ、と思っていたら、少年ではなく小さいお婆さんだった。

 

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 窓の外に蟻がいた。

旅は道連れ、と思って眺めていたけど、風に飛ばされてしまった。

さらば。

 

宇野駅に着く。

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駅員さんにスイカの清算をしてもらう。

ワンマン列車ではICカードが使えなかった…。駅員さんのいる駅で良かった。

入場駅名を見て、ここからずっと乗ってきたの?と驚かれる。

このご時世、ICカードさえあればどうにかなると思ってスイカに手持ちの現金をぶち込んでしまっていたので、現金の持ち合わせがなくなってやばいなーとぼんやり考える。

 

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 駅前のイカしたオブジェ。

クラゲが良い。

 

適当に海の方へ歩いていく。

知らない場所でも割と迷わずにガシガシ一直線に歩くので、地元民と間違われやすい。

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 海。

数年ぶりに見た海は、あんまり潮の香りがしなくて不思議な感じがした。

海ってもっと臭くなかったっけ?

ヤンママ(死語?)が子供に向かって、テメー行くなつってんだろ!!とか叫んでて面白かった。

子供めっちゃ可愛いし、ヤンママは美人。美しい国ニッポン。

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 実を言うと、こいつに会うためにここまで来たのだ。

宇野のチヌ。

ゴミでできてる。写真で見たときはゴミ???って思ってたけど、実際に見ると本当にゴミだった。

プーとかピカチュウとかいて面白い。

裏面にはクッキーモンスターの同僚の赤い奴もいた。

 

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もう一匹には梯子がついてて、なんだ?と思ってみたら中が滑り台になったいた。

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 口から入って尻から出てくるらしい。

捕食されてから排泄されるまでを疑似体験できる。

入りたかったけど1人だったし入らなかった。

おそらく老人ホームから来たのであろう御一行がにこにこ見て回っていた。

私は完全に異物だ。

 

一通り見たのでボーっと海を眺めていた。

釣りをしているおじさんが二人いて、ヤンママの怒鳴り声と子供の楽しそうな声がたまに聞こえてきて、あとはずっと波の音。

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 昔から海は苦手だった。怖くて。

1人で行くなんて考えられなかったんだけど、人は変わるものだなあ。

今もやっぱり怖いし、入りたいとは思わないけど。

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結構頻繁にフェリーが通る。

岸から見てると全然人が乗っているようには見えなかったんだけど、どうなんだろう。

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良い尻。

 

たぶん13時くらいだったんだけど、お昼ごはんを食べていないことをふと思い出して。

普段は食に対して異常な熱意を持っているのに、旅中は食事を二の次にしてしまうというか、食がおろそかになる。

周りを見渡しても飲食店らしきものはなし。セブンイレブンはある。

セブンイレブンで買うか?と一瞬思ったけど、時間はまだあったりその辺りをぶらぶらしてみることに。

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ローカルスーパー発見!テンションアップ。

中に入ったら"イオン銀行"の文字を発見。テンションダウン。

イオンの侵略は防げない。

 

旅行中の食事は、ガイドブックに載っているお店よりも、ローカルスーパーで買った食べ物の方が良い思っているんだけど、いまだかつて同意を得られたことはない。

お惣菜コーナーを見たら、地域によって全然ラインナップが違うし、同じ料理でも具が違ったり、味付けが違ったりで、かなり面白い。と、思う。

旅先の、その土地に住んでいる人たちって、おとぎの国の住人と同じくらい自分とはかけ離れた世界の人、という印象がある。

存在感が希薄だし、個人として認識できないというか。

ロールプレイングゲームに出てくる街の人たちみたいなイメージ?

だからそこの土地の、その土地に住む人たちのための食べ物は魅力的に見えるのかも。

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 心惹かれるおにぎりたち。

 ちくわパン(ツナマヨ入り)なる謎のパンとか、ぽつぽつ買った。

スーパーを出てから現金がないことを思い出して踵を返しイオン銀行へ。

さすがイオン様。圧倒的感謝しかない。

 

駅までの道を歩きながらパンをかじる。

行儀が悪いのは重々承知で、それでも買った物を買ってすぐに食べるのは贅沢で良い。

歩きながら食べるのも、行儀の悪さも含めてとても楽しい。

1人で旅行していると心が勇敢になるし、こういうことも気兼ねなくできる。

もりもり食べながら駅に戻ったらちょうど良い時間だった。

また岡山までワンマン列車に揺られる。

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電車は空いていた。

買ってきたちくわパンを食す。

どんなのかと思ったら、ちくわの中にツナマヨが詰まっていた…。

わけわからん!でも美味しかった。

 

岡山で一回降りて、お土産のきび団子を買いこんでまた電車に。

早い時間は高校生が多かったけど、遅くなるにつれてサラリーマン濃度が高まって行く。

非日常から日常に連れ戻される。

元々あんまり体調が良くなかったのもあって、電車に乗ると一瞬で寝てしまった。

 

気がついたら地元についていた。

8時前に出て18時過ぎに帰宅。子供の遠足のようだ。

次来るときは一泊して島めぐりがしたい。

 

京都⇔宇野 ¥8860

昼食代(スーパー) ¥365

お土産代 ¥2210

合計 ¥11435

 

お金の使い方が下手だったなーと思う…。

18切符のシーズンなら交通費抑えられたし、食費はもっと使って良かった。